当時渡辺所長が入社したころは、株式会社アベ様は大黒埠頭物流センターのみが稼働しており、物流システムとしては、過去の物流システムから共栄情報システムの物流パッケージへ・・・と、導入準備中の状態であった。その導入準備中の段階で、急きょ本牧埠頭物流センターの設立が決定、導入準備中であった物流パッケージは、まずは本牧埠頭センターで利用することとなった。その後大黒埠頭埠頭物流センターでもシステムが稼働。現状は、いわば、2センターが1つの物流パッケージを同時利用する、という形になったわけである。
共栄情報システムのパッケージには基本的に「ライセンス」という考えがない。1社で最大99営業所(99センター)まで同時に利用することができ、在庫状況や入出庫の状況をリアルタイムで本社はもとより、全営業所で共有することができるのである。
それでも「当時の物流システムは容積単位での請求ができず、非常に驚いたのを記憶している」と渡辺所長は言う。「重さ単位での請求は出来たけれど、容積単位での請求ができなかった。共栄情報システムにすぐ要求をだし、追加カスタマイズをしてもらいました。また日割り計算や、出たとき請求(出航する船が決まり、コンテナにつめ出航した段階での請求処理)の対応など、その時々での取扱貨物やお取引企業との約束事がでるたびに、即自対応をしてもらいました。当社には情報システム部門がありません。これを仮に社員がやることになったら、ですか?ちょっと考えられませんね。不可能です。」
業務サーバーはIBM社製のAS/400(現在の名称はSystem i)である。サーバー自体は、大黒センターに置かれ、順調に稼働していたが、業務拡大が進むにつれ、メモリが足りなくなってきたこと、そして耐久年数も限界に来ているとの判断から、見直さざるをえない側面に立たされた。
そのタイミングで、共栄情報システムからASP サービスの提案がでてきた。サーバーは共栄情報システムが所有し、ユーザーはパソコンだけ保有すればいい。インターネットのVPN経由で共栄情報システムの社内にあるサーバーにアクセスして通常業務をこなす。つまり、サーバーが社内から社外に物理的に移動しただけ、というイメージをお持ち頂けるとおわかり易いだろうか。(下図イラスト参照)
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